四丁目祇園屋台・四丁目鉾

ページ番号1001860  更新日 平成28年1月24日

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写真:四丁目祇園屋台

四丁目祇園屋台

明治2年(1869年)に完成したものである。鉾と同じく、本町四丁目で買継商を営んでいた磯部庄七(いそべ しょうしち)(1824~1896)がスポンサーとなり、自らの趣向と設計によって制作された。
襖絵12枚を組み、両袖を広げると7.5メートル、高さ7メートル、奥行6.5メートルは、まさに巨大屋台とも言え、鳥が羽根を広げたように美しい。(同規模の屋台が、本町各町に6台現存する。)舞台中央に回り舞台を有し、下座は2階建てとし、囃子座(はやしざ)となっている。歌舞音曲の舞台として、大変珍しい構造であり、花道も付く。床下の車輪近くには20センチメートル角のカシ材の心棒があり、かつて屋台を曳き廻した際、180度回転させる為、一本で全重量を支えた。 唐破風(からはふう)様式で四方全面に素木(白木)の装飾彫刻を据えている。
薮塚の名工岸亦八(きし またはち)(1791~1877)の手によるもので、龍、獅子、犬、牡丹、飛龍など大小60の彫刻で組み上げられた芸術品といえる。大工は町内お抱え大工の鈴木嘉七である。
襖絵は、二種類所蔵している。画家は清水東谷(しみず とうこく)(1841~1907)である。江戸に生まれ13才で狩野派に入門し玉龍と号した。
一組の絵は「鶴と秋草の図」で狩野派らしく華やかで繊細である。もう一組の「芭蕉之図」は当時としては大変珍しい南方の植物「芭蕉」をモチーフにしている。2度目の来日を果たしたシーボルトに雇われ、植物の写生に従事した。長崎で油絵と写真を学び、その影響もあって洋画風の大胆な構図となったものである。のちに横浜で写真館を開き、東京に上京する。大変貴重な美術品である。
扁額は表裏二種類所蔵している。正面破風下の「楽郷華観(らっきょうかかん)」は江戸にいた館林藩の書家田口江邨の筆によるものである。先代屋台の嘉永7年のもので、桐生の図案家石田九野(いしだ きゅうや)と親交があり、依頼されたものであろう。
寄進者は四丁目の金子吉右衛門である。裏の扁額の「四街目」は屋台完成を記念して磯部庄七が寄進した。なお、一部の彫刻と構造物が嘉永7年(1854年)製のものを再利用している。桐生の屋台では、一部とは云え最古のものである。
(解説:奈良 彰一)

写真:鉾の上のスサノオノミコトの人形

写真:祭りで鉾の周りを沢山の人が歩く様子


四丁目鉾(しちょうめほこ)
明治8年(1875年)に完成したもので、屋台と同じく磯部庄七が51才の時スポンサーとなり、趣向を凝らした豪華な鉾となった。関東地方での多くは山車(だし)と呼ばれているが、京文化の影響が強い桐生らしく鉾と明記されている。
江戸の天下祭りでは二社の山車群が江戸城に入ることが許されたことから、二層式で高さ7.5メートル位までであった。関東に残る山車は、江戸から流出したり、モデルとした為、大方この規模なのである。
桐生の鉾に三丁目の「翁鉾」(おきなほこ)もある。これは江戸型山車の原型で最もシンプルなもの、しかも三味線胴の彫物は桐生に珍しく金塗りである。「四丁目鉾」は関東地方では無類の大きさとオリジナル性に富んだ重層式桐生型と云える鉾である 。四方幕(水引き)を整え、三味線胴と人形が迫り上がると全高9.2メートルまでになる。 四方全面の素木の装飾彫刻は岸亦八、79才の時の作品で、正面2本の龍柱は昇龍と降龍を立てている。
龍の他、下座には獅子、牡丹、りすとブドウ、鶴など繊細な彫刻は大小100の部材で組み上げられている。床下には10センチメートル角のカシ材の心棒が下り、この一本で全重量を支え180度回転させ、曳き廻す手法である。 近年では、人力のみでこの様な作業をする鉾や屋台が少なくなったが、むしろ美しい姿なのである。
最上部の人形、素戔鳴命(スサノオノミコト)は浅草の生人形師松本喜三郎(まつもと きさぶろう)(1825~1891)の作品で50才の時のものである。熊本で生まれ、大阪から江戸に出て新門辰五郎のもとで評判をとった。東校(今の東大医学部)の依頼で人体模型を制作するほどで、解剖学的正確さとリアルさで人間味を加味させ、命を与えた人形師だったといえる。眼光鋭く、歌舞伎の大見栄の様にも見える。人形、彫刻、構造が見事にバランスをとり、素木(白木)の美しさと豪華さが、これほど調和のとれた動く建築芸術は珍しい。
(解説:奈良 彰一)

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