森秀織物工場　全10棟

ページ番号1002000　更新日令和3年1月27日

森秀織物工場は初代森島秀が大正13年に森島俊篤（森俊織物）から分家して現在地に工場を構えたとされる。桐生織物史別巻においても大正15年11月に織物同業組合の役員に当選している記述がみられるところからも、大正13年頃に本格的に操業をはじめたことがうかがえる。
桐生の高級織物であるお召し専門の機屋であり、戦時中も当時の商工省から技術保存業者に選定され、企業統制からまぬがれ織機の供出もされなかった。そのため、戦後いち早く織物生産を再開し、昭和30年代以降に最盛期を迎える。
現職員によると昭和37年には137人もの従業員がおり、そのうち100名ほどが女工だったという。織機は一人1台で、昭和47年頃から機械化が発達し一人2台となったという。
森秀織物株式会社として現在も操業しており、お召しの技術を生かした文楽人形の衣装や歌舞伎の装束などを織り上げるなど、桐生織物の伝統的技術の復元とその継承に努めている。
また、工場の一部は織物博物館として開放し、また染色や手織を体験できるようにもなっており、市内外を問わず県外各地からの見学者が絶えない。
鋸屋根工場のほか整経場、釜場（染色場）、撚糸場、寄宿舎など織物業の一連の施設が現存する。鋸屋根工場は3連のものと4連ものが同一敷地内にあり、桐生市内でも特筆される規模となっている。
全体的は創建時である大正13年頃の建物で構成されるが、敷地北西側の工場は大正13年に建てられた釜場、整経場に接続した鋸屋根工場を、昭和21年と昭和27年頃、また昭和34年の3時期にわたって増築されたものである。
敷地中央部は通路となっており、その東側には南から鋸屋根工場、旧現場事務所、旧倉庫、旧寄宿舎、旧撚糸工場、引き移転したという旧寄宿舎（織物参考館受付・ミュージアムショップ）が連なる。
西側には居宅北側から旧釜場（織物参考館体験学習室）、鋸屋根の旧整経場（織物参考館「紫」展示ホール）、4連の旧鋸屋根工場（織物参考館「紫」展示室）が連続して建ち並び、北西角には森島純男住宅西蔵のところにあったものを移築した旧土蔵（織物参考館「紫」織蔵）がある。敷地北側は織物参考館「紫」の駐車場となっており、現在では本来裏口であった北口がメインとなっている。

森秀織物工場一覧

一覧
名称	員数	構造、形式及び大きさ	年代
1. 森秀織物工場	1棟	木造平屋建、鉄板葺、建築面積208平方メートル	大正13年頃
2. 森秀織物旧現場事務所（経糸整経工場）	1棟	木造平屋建、瓦葺、建築面積83平方メートル	大正13年頃
3. 森秀織物旧物置（八丁撚糸場）	1棟	木造平屋建、瓦葺、建築面積53平方メートル	大正13年頃
4. 森秀織物旧寄宿舎1（製造加工場）	1棟	木造平屋建、瓦葺、建築面積57平方メートル	大正13年頃
5. 森秀織物旧寄宿舎2	1棟	木造平屋建、瓦葺、建築面積62平方メートル	大正13年頃昭和56年曳家
6. 森秀織物旧撚糸場	1棟	木造平屋建、瓦葺、建築面積127平方メートル	大正13年頃
7. 森秀織物旧土蔵	1棟	木造2階建、瓦葺、建築面積33平方メートル	大正13年頃
8. 森秀織物旧工場	1棟	木造平屋建、鉄板葺、建築面積582平方メートル	昭和21年昭和27年頃増築
9. 森秀織物旧整経場	1棟	木造平屋建、瓦葺、建築面積135平方メートル	大正13年頃
10. 森秀織物旧釜場	1棟	木造平屋建、瓦葺、建築面積127平方メートル	大正13年頃