八木節「国定忠治」
- お国自慢は数々ござる
四季の眺めは色とりどりで
赤城、榛名に妙義の山よ
今日ものどかな機織りうたで
織はつむぎかあの銘仙か
赤いたすきに姉さんかぶり
咲いた牡丹に蝶々がとまる - 尾瀬の浮島この世の花よ
紅葉うつした吾妻川を
行けば流れに湯のもやかかる
四万で一夜よ草津で二夜
気にはしやんすな北山おろし
燃えて火となる浅間の山で
今朝も三すじの煙がなびく - 名残りおしさにお前もなくか
青葉がくれに山ほととぎす
ツツジ花咲く峠に立てば
関東平野は緑の中に
銀の帯ひく大利根川よ
つづく名所は数々あるが
関東名代の長脇差と
音に聞こえた国定忠治 - 国は上州佐位郡にて
音に聞こえし国定村の
博徒忠治の生い立ちこそは
親の代には名主をつとめ
人に知られた大身なるが
大事息子が即ち忠冶
蝶よ花よと育てるうちに - 幼なけれども剣術柔術
今はようやく十五の年で
人に優れて目録以上
明けて十六春頃よりも
博奕を張り始めから
今日も明日も明日も今日も
日にち毎日博奕渡世 - 負ける事なく勝負に強く
勝って兜の大じめありと
二十才あまりの売り出し男
背は六尺肉付き太く
器量骨柄万人優れ
男伊達にて真実の美男
一の子分が三つ木の文蔵 - 鬼の喜助によめごの権太
それに続いて板割浅太
これが忠治の子分の中で
四天王とは彼らのことよ
後に続いた数多の子分
子分小方を持ったと言えど
人に情は慈悲善根の - 感じ入ったる若親方は
今は日の出に魔がさしたるか
二十五才の厄年なれば
すべて万事に大事をとれど
丁度その頃無宿の頭
音に聞こえた島村勇
彼と争うその始まりは - かすり場につき三度も四度も
恥をかいたが遺恨のもとで
そこで忠治は小首をかしげ
さらばこれから喧嘩の用意
いずれ頼むとつわ者ばかり
頃は午年七月二日
鎖かたびら着込を着し - さらばこれから喧嘩の用意
いずれ頼むとつわ者揃い
頃は午年七月二日
鎖かたびら着込を着し
手勢揃えて境の町で
様子窺う忍びの人数
それと知らずに勇親方は - それと知らずに勇親方は
五人連れにて馴染みの茶屋で
酒を注がせる銚子の口が
もげて盃みじんに砕け
けちな事よと顔色変えて
虫が知らぬかこの世の不思議
酒手払ってお茶屋を出れば - 酒手払ってお茶屋を出れぱ
いつに変ったこの胸騒ぎ
さても今宵は安心ならぬ
左右前後に守護する子分
道に目配ばせよく気を付けて
目釘しめして小山へかかる
気性はげしき大親方は - 気性はげしき大親方は
およそ身の丈け六尺二寸
音に聞こえしかい力むそう
うのつきかや今宵のかぎり
あわれ命はもくずのこやし
しかもその夜は雨しんしんと
闇を幸い国定組は - 今は忠治は大音声で
名乗り掛ければ勇親方は
聞いてニッコリ健気な奴ら
命知らずの蛆虫めらと
互い互いに段平物を
抜いて目覚ます剣の光り
右で打ち込む左で受ける - 秋の木の葉の飛び散る如く
上よ下よと戦う内に
運のつきかや勇親方は
胸をつかれて急所の痛手
ひるむ所へつけ込む忠治
首をかっ切り勝鬨あげて
しめたしめたの声諸共だが
オーイサネー
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