重要文化財銅造阿弥陀如来及両脇侍立像
- 区分
- 国指定重要文化財
- 所在地
- 群馬県桐生市西久方町一丁目10-11
- 所有者
- 宗教法人 青蓮寺
- 詳細
-
中尊:阿弥陀如来像 44.6センチメートル
右脇侍:勢至菩薩像 33.3センチメートル
脇侍:観音菩薩像 33.2センチメートル
本像は、桐生市西久方町の、時宗(じしゅう)仏守山義国院青蓮寺(ぶっしゅざんぎこくいんしょうれんじ)の本尊として伝来する、鎌倉時代以降に盛んに造られた、信州善光寺の秘仏本尊を模したとされる善光寺式阿弥陀如来三尊佛(ぜんこうじしきあみだにょらいさんそんぶつ)です。金銅製の阿弥陀三尊立像で、光背(こうはい)は失われていますが、台座も含め鎌倉時代の中期に製作されたと考えられます。
三尊とも鋳抜きで、別に鋳造された各部位を組み立て造られています。どの像も非常に精緻な工作がなされ、複雑で薄い衣の処理や細部の仕上げに非常に高い技術を見ることが出来ます。三尊ともに鍍金が施されていました。
善光寺式三尊佛
信州の善光寺本尊である阿弥陀三尊の形式で、中心に阿弥陀如来、右に勢至菩薩、左に観音菩薩が立ち一つの光背に三尊が並び立つものを言います。善光寺如来の信仰は、鎌倉期以降、浄土思想と共に各地に分身されました。
中尊 阿弥陀如来
右手を上げ手のひらを開き前に向けた施無畏印(せむいいん)左手は下げ、善光寺式阿弥陀如来の特徴である人差し指と中指を伸ばし他の指は曲げた刀印を結んでいます。頭部の螺髪(らほつ)から足先まで一鋳で造り、肉髻(にくけい)、白毫(びゃくごう)ともに水晶のはめ込みで作られています。
納衣(のうえ)は通肩(つうけん)【衣を両肩を覆って着る】で、衣のひだは流麗な弧を前面に描き、袖の垂れている部分は薄く美しい曲線を示しています。
右肘から手首にかけての外側に垂れる袖部、左肘から手首内側に垂れる袖部、両手より先をそれぞれ別鋳しています。
脇侍 右に勢至菩薩、左に観音菩薩
ともに同形の宝冠をつけ、前面には蓮華文様があります。頭部の白亳は嵌め込みで、勢至菩薩は右手を上に、観音菩薩は左手を上にし、両手を重ねる善光寺佛の特徴である梵篋印(ぼんきょういん)を結んでいます。
天衣(てんね)は膝の上下で二重の半月形を造る善行寺佛の古い形式となっています、観音菩薩の垂髪、胸飾など一部は欠損していますが、勢至菩薩の胸飾り、左側垂髪はのこされています。
両像とも頭頂から足先まで一鋳で造られ、両肩より先の両手部分も別に一鋳で造られ、本体に取り付けられています。
仏守山義国院青蓮寺(ぶっしゅさんぎこくいんしょうれんじ)
歴史
桐生市西久方町の青蓮寺は、天正3年(1575年)桐生氏を滅ぼした、大田金山城主由良成繁によって新田領内の岩松郷(現在の太田市岩松町)よりこの地に移建されたと「天正遺事」に記されています。(実際には移建と言うより新 築 に近い形と考えられています)
岩松青蓮寺は新田義重の父、源義国開基とされていましたが、現在では六代後の子孫、岩松政経で弘安元年(1278年)頃と考えられています。
新田郡岩松郷の青蓮寺は、新田氏、さらに源氏の正統を示す由緒有る寺院であり、自らを源氏の正統たらんとする由良成繁は新たに治めることとなった桐生の地にも青蓮寺の名を持つ寺を建立したと考えられます。
天正18年(1590年)の豊臣秀吉の北条攻めの際、北条方についた由良氏は、慶長3年(1598年)その責により現在の茨城県牛久へと国替えになりました。主を失った桐生の青蓮寺は残された由良家の旧家臣などに守られ、時代の中 で幾度かの変遷を経ながら現在に至っています。
建物
青蓮寺の本堂は、延享年間(1744~1747年)に建築されたと思われますが、現在まで幾度かの改変を経ています。
この建物で特筆に値するのは、須弥壇に「武蔵野国妻沼町 大工林兵庫」の銘が見られ、又欄間彫刻には「東上州花輪村彫物師石原吟八郎義武彫之」の墨書が認められることです。
これは、妻沼町の大工集団、花輪村の彫刻師集団という妻沼歓喜院聖天堂に関わった集団がこの建物にも携わっていた証であり、当時一流の工匠たちを呼び寄せる財力が桐生にあったことを裏付けます。
当時の桐生は織物産業により隆盛を極め、豪華な欄間彫刻や須弥壇を造りえることは、その経済力の表れでもあったと考えられます。
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