カッコソウはどんな植物?

ページ番号1000849  更新日 平成29年4月1日

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カッコソウとは

和名:カッコソウ(サクラソウ科) 学名:Primula kisoana var. kisoana
カッコソウは、かつては“山一面がピンク色になった”といわれるほど、足尾山地の山で見られたようです。しかし、近年その生育域は極端に縮小し、絶滅が心配されています。

学名の豆知識

生物には、全世界共通の名前(学名)がついています。学名で覚えておけば、全世界で通じます。もちろん、カッコソウにも学名が付いています。
その名も Primula kisoana var.kisoana
Primula サクラソウ科サクラソウ属 という意味。ここでサクラソウの仲間であることが分かります。
Kisoana 木曽(長野県の地名)という意味
さて、ここでおかしなことに気がつきませんか? 群馬県だけにあるカッコソウになぜ木曽などという名前が付いたのでしょうか?
これには、色々な説があり、17世紀にシーボルトという医師・博物学者がオランダに標本を送った際にラベルを貼り間違えたのではないかという説が有力ですが、本当のところは不明です。また、「カッコソウ」という和名も、その由来がはっきりとはしておらず、花が濃い紅なので「勝紅草」と漢字で書き「カッコソウ」と読んだという説が有力ですが、現在もはっきりとしたことが分かっていません。
このように、カッコソウは名前ひとつとっても不思議がいっぱいな植物です。

分布

カッコソウは、地元の研究家・教育者であった岩澤正作が昭和初期の状況を記した新聞記事(岩澤1935,岩澤1939)と、現在の生育が知られている範囲がほぼ一致することから、昔から桐生市・みどり市の狭い地域だけに生育しており、世界中でここだけに生育している希少な植物です。

分布(画像)

注:以前は、四国にあるシコクカッコソウと同種ではないかといわれていましたが、近年の遺伝子の研究により、別種であることが確認されました。(Ohtani et al 2005)

生活史

カッコソウは、春の早い時期(5月頃)から葉を開くため、春に地面まで十分な光が届く、落葉広葉樹林(らくようこうようじゅりん)に好んで生育します。

生活史(画像)

形態的な特徴

特徴1:異型花柱花

サクラソウ属の植物は、異形花柱花(いけいかちゅうか)といって、短花柱花(たんかちゅうか)と長花柱花(ちょうかちゅうか)の2タイプの花があることが知られています。
それぞれ下の図のような花のつくりになっていて、違うタイプの花同士で交配しやすく、同じタイプの花同士では交配しにくいという性質を持っています。この交配を媒介しているのはトラマルハナバチやビロードツリアブといった昆虫だと考えられています。

短花柱花と長花柱花のイメージ図

特徴2:2つの方法で繁殖

カッコソウは、地下で地下茎(ちかけい)をのばし株を増やすことができるクローン成長と、種から増える種子繁殖の2つの方法で繁殖しています。

繁殖イメージ図

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